今回は、このサイトのテーマでもある「モジュラーシンセ」の意味について解説します。

アナログ、デジタルを問わず、一般的な(モジュラーではない普通の)シンセサイザーが音を作る仕組みは「ベルトコンベアの工場」に似ています

例えば「パンの工場」なら

原料を混ぜる→焼く→包装する→トラックに積んで出荷

大まかには、こんな順番でパンが作られ、出荷されます。

シンセの内部もこれと似たような感じで

音の原料を生成(オシレータ)→音の質感を加工(フィルター等)→音量を整え出力(アンプ)→スピーカーやレコーダー

思いっきりシンプルに説明すると、こんな順番で音が作られる構造がポピュラーです。

工場と普通のシンセに共通するのは「工程の順番や数を自由には変えられない」という事です。工場であればコンベアなどの設備を改修する必要がありますし、シンセなら設計を変えて作りなおすしかありません(同時に、その設計の違いが、各シンセの個性を作っています)。

一方モジュラーシンセは、各工程の順番や数を、ユーザーが自由に決めることができます

再度パン工場に例えると、同じ工程を使っても順番を組み替えると…

原料を混ぜる→トラックに積んで出荷→(店で)焼く→(お客さんが買ったら)包装する

こうすると「コンビニで売ってる出来合いのパン」(冒頭の例)から「焼き立てパンの販売」(変更後の例)に変化します。さらに、例えば「原料を混ぜる」の工程が「食パン専用」だったとしても、新たに「フランスパン用」と「アンパン用」を持ってきてつなぐと、包装の段階で「パンの詰め合わせ」が作れます。こうした各工程が「モジュール」です。

…ちょっとパンに例えすぎましたが、モジュラーは「バラバラに存在する音の発生源や加工装置を組み合わせることで、自由な発想で音作りができるシステム」なのです。

今、あえて「シンセ」を付けずにモジュラーと呼びましたが、実は正確に言うと「シンセ」というのはモジュラーによって構築できる形態の一例に過ぎないのです。モジュラーシステムを使えば、例えば「エフェクター」や「ミキサー」など、他の音を扱うツールを構築することも可能なのです。

もちろん完全にオリジナルなサウンドを作るにはゼロから装置を設計するのが一番でしょうが、曲を作る度にデバイスを作るというのはちょっと難しいものがあります。モジュラーは、特定の役割を持ったモジュールをあらかじめ用意しておくことで、可能な限りユーザーの意思を反映した音作りを効率よく行える道具なのです。

この、モジュラーの持つ「可能性」にちょっとでも心がピクっと踊ったあなたの心を、次回以降さらにモジュラーの虜にして行こうと思います(笑)。
(解説:大須賀淳

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