この連載の第1回で、シンセサイザーといえば「鍵盤の付いた」電子楽器のイメージがあるのでは?とみなさんに問いかけました。しかし、シンセはあくまで「音を合成する装置」。それを発音させるためのデバイスは、必ずしも鍵盤だけとは限りません

例えば、息を吹き込んで管楽器のように演奏する「ウインドシンセサイザー」や、ギターで演奏する「ギターシンセサイザー」、スティックで叩いて発音させる「ドラムパッド」など、鍵盤以外の楽器スタイルを持った演奏デバイスは数多くあります。

また「テルミン」のように手を触れずに演奏したり(テルミンは静電容量の変化を利用)、指でこする「リボンコントローラー」といった、従来楽器に無い演奏スタイルのデバイスも存在します。音楽用に開発されたもの以外でも、スマホ・タブレットのスクリーン、ゲーム機のコントローラ、パソコンのキーボードなど、人間が手で操作する様々な電子的なインターフェースは「楽器化」する試みが行われています

繰り返しになりますが、シンセはあくまで「音を合成する装置」。音が変幻自在であるのと同じく、演奏スタイルや道具も様々に存在して全く構わないし、実際に様々な試みが行われているのです。

さらに、シンセに欠かせないのが「自動演奏」。専用の「シーケンサー」という装置や、パソコンのソフトなどを使って、譜面やプレイヤーの演奏に相当するデータを出力して発音させる行為(いわゆる「打ち込み」)は、手弾き以上に広く行われていると考えられます。特に、ドラムサウンドに特化したシンセは、シーケンサーも内蔵しているもの(いわゆるリズムマシン)が数多く存在します。

整理すると、シンセサイザーは次の3種類に大別できます。鍵盤を含む「楽器型」。自身に自動演奏装置を内蔵している「シーケンサー内蔵型」。そして、好みの演奏デバイスやシーケンサーを繋いで音を鳴らす「音源モジュール」です。

モジュール」?

このコラム、「モジュラーシンセ・日本」に載っているのに、3回目にしてようやくモジュっぽい言葉が出て来ましたね(笑)。さて、この辺りまでの事柄をなんとなくでも知っておくと、より「モジュラー」が理解しやすくなります。

次回はいよいよ「モジュラーシンセとは何?」という疑問にお答えします!
(解説:大須賀淳